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久々にしみじみとした静かな余韻に浸れる映画を観ました。
「父親たちの星条旗」です。
第二次大戦時の硫黄島。
日本と戦いを繰り広げているアメリカ軍は
被害も甚大で、このままでは撤退か、という状況でした。
そんな時、ふとした偶然から島の山頂に星条旗を掲げることになります。
これが、誰でも一度は目にしたことのある有名な写真となり、
敗退ムードになりかかっていたアメリカ国民の士気を高揚させ、
勝利へと導いていったのです。
そして、米軍は、この国旗掲揚の写真に映っている兵士たちを
戦争国債を国民に買わせるための広告塔に利用。
このことが、兵士たちを二重、三重に苦しめることとなるのでした。
恥ずかしながら、硫黄島の戦いについては
ほとんど知識がなかったワタシにとって、
この映画は本当に興味深かったです。
でも、あの有名な硫黄島の星条旗掲揚の写真は
何度か見たことがあり、
すごい激闘で銃弾が飛び交う中、
命がけで旗を掲げている人たちの写真なのだと
当時のアメリカ国民同様に勝手に思い込んでいました。
ですが、この映画で
歴史の陰に隠された真実が明かされた時、
どうして今まで、このことがおおっぴらに語られてこなかったのかが
分かる気がして切なくなりました。
そして、この一枚の写真がなかったら
もしかしたら日本が勝っていたかもしれなかった、
という事実にもびっくりしました。
劇中、「日本軍は絶対に降伏しない。
このままでは、来月には我が国が日本軍の条件を
すべて飲んで降伏しなければならない」と
実は負け気味だったアメリカ軍の情勢が出てくるんですよ。
歴史というのは、紙一重のところで
どちらにも転がるものなのだ…と改めて思っちゃいました。
「国民に国債を買ってもらわなくてはもう武器を買う金もない」と、
経済的に逼迫していたらしいアメリカの状態を示すセリフがあるのですが、
そうは言いながらも
ニューヨークのタイムズスクエアが映し出される場面では
ネオンがキラキラ、女性たちは
綺麗なドレスにきちんと髪形も整っていてメイクもバッチリ。
野球のスタジアムにも照明が煌々としてました。
同じ時期の日本の街や女性たちの様子を
映し出した映画やドラマを見ると、
モンペ姿でスッピンで髪もひっつめていて飢えていて…
全然違うんですよね。
いくら切迫している、といっても
やっぱり馬力が違う、というか…。
そんな背景も垣間見られる映画です。
そして、
戦争映画なので、戦闘シーンの迫力もスゴイです。
ほんの一秒前まで横にいたのに吹っ飛んでバラバラになってしまう人、
奇襲攻撃に必死に抵抗したものの、無念の死を遂げる人…。
胸締め付けられるようなシーンが続きます。
でも、
監督のクリント・イーストウッドが一番描きたかったのは、
殺戮の場面ではなかったと思います。
「戦争をしていいことなんてひとつもない。
勝った国も負けた国も多くの母親たちが息子を失ったことに変わりはない」
そんなメッセージが聞こえてきた気がしました。
もちろん、いつものイーストウッド映画と同じで
押し付けがましいところはまったくなく、
静かな語り口で物語が進んでいくので、余計にずっしり心に響きました。
ところで、今回の「父親たちの星条旗」は
硫黄島2部作の第一弾で、
アメリカ側から見た硫黄島の戦いを描いていますが、
12月には日本側から見た硫黄島の戦いが描かれる
「硫黄島からの手紙」が公開されます。
二度と祖国に帰れない、と知りつつ
戦いに向かった若者たちの姿できっと涙してしまうのでしょうが、
大国アメリカに
「あと一ヶ月もしたら全面降伏しなければならない」
と言わしめた日本軍の知略はどのようなものだったのか、
ワタシはそこに興味があります。
今から公開がとても楽しみです。
投稿者 mi-chan : 2006年10月28日 21:02
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