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「ボウリング・フォー・コロンバイン」で銃社会に警鐘を鳴らし、
「華氏911」で米国政治の裏側を暴いた稀代のドキュメンタリー作家、
マイケル・ムーアが今度はアメリカの抱える深刻な医療制度問題を取り上げました。
タイトルは「シッコ」。
日本人からすると、「うん?」という感じがする題名ですが
意味は「病的な」「ビョーキだ」と言うことだそうです。
「Sick」が変化したものですね。
国の運営による健康保険が存在しないアメリカ。
国民は自分で保険会社を選び、加入しているんです。
だから、お金がない人は入れません。
彼らももちろん深刻な状況ですが、
今回、ムーア監督が問題にしているのは
物凄い数にのぼる、保険未加入者ではなく、
きちんと任意保険に入っているのに
病気や怪我の時に納得のいく治療を受けられない人たちの話なんです。
これってヒドイと思いませんか?
ドラマ「ER」で、治療に来た人が
「私の保険ではそこまで面倒見てくれないからその治療はしないで」
なんて言うことを言ったりするので
アメリカってそういう制度なんだ、とは分かっていましたが、
「シッコ」に登場するさまざまな話をみていると、
「保険会社の営利優先」のあまりにも悲しい現状に衝撃を受けてしまいました。
例えば
小さな娘が急に高熱を出したので
自宅から一番近いERに娘を連れていったお母さん。
でもその病院は、お母さんが加入していた保険会社と提携していないので
娘さんを診察・治療できないと言われてしまったそうです。
すでに意識不明になっている娘を抱えて
自分の保険会社が提携している病院まで走り、
ようやくたどり着いた時には娘さんは呼吸停止状態。
そして、娘さんは亡くなってしまったのでした。
そして、クルマを運転中、道で交通事故を起こしてしまった女性。
携帯電話で救急車を呼んで病院へ運んでもらい、
無事に怪我は治ったのですが
後日、保険会社から来た通知には驚愕の文面が。
「救急車を使用した料金は、事前申請しないと保険金が出る対象にはなりません」
その女性いわく
「救急車を使いたいっていう事前申請って、いつするわけ?
事故を起こしちゃって倒れてる時?」
馬鹿げてますよね~。
病院側も保険会社と結託していて
治療をしなければしないほどその医者にお金が出るらしいです。
何じゃそりゃー!
ヒドイ例だと、お金にならない認知症のお年寄りなどは
点滴の針を腕に挿したまま、パジャマ姿でタクシーに押し込み、
ホームレスなどをケアする慈善医療施設の前の道路に
そのお年寄りをぶん投げていくんだそうです。
放置して置けるわけがない、施設の職員たちの良心に付けこみ、
「あとはテキトーに面倒みてね」ってことですよね。
人の道にも劣る行為ですが、これがアメリカの真実の姿なんですね…。
極めつけは9.11同時多発テロで
現場でボランティアとして必死に働いてくれた人々に対する
健康面でのケアがまるで出来ていないという現実。
ムーア監督も嘆きます。
「あの日、ボクたちアメリカ国民はみんなで助け合おうとしたじゃないか。
なのに、あの瓦礫の中を走り回ってくれた彼らのことは放っておくのか」と。
もう、こんな悲しくてせつなくて、アタマに来る話がドンドン出てきます。
そして、対照的にフランスやカナダ、イギリスの
羨ましすぎる「患者本位」の国民全員を対象とした
医療制度の実態が描かれていきます。
フランスなんて、出産したママには
お手伝いさんまで国が無料で派遣してくれるんですって。
スゴイですよね。
とどめはキューバ。
アメリカと政治的に仲が悪いせいで、何かにつけて悪く言われ、
発展途上の野蛮な国みたいなイメージを植えつけられていますけど
実際は高度な先進医療国で、
優秀な医師も多く、世界中のよその国にお医者さんを
貸し出すほどだそうですよ。
ムーア監督は、この地に驚きの方法で乗り込みます。
アメリカの変な保険制度の被害者たちを引き連れて…。
これは見てのお楽しみというコトで…。
最後は感動的で、ワタシは泣いてしまいました。
ムーア監督は、これまでの映画でも
「アホでマヌケなアメリカ白人」のようなテレビシリーズでも
常に「このままでいいのか、アメリカ人よ!」
「愛する自分の国だからこそ、放って置けないんだ!」
というメッセージを強く打ち出しています。
本作でも、そんなムーア監督の叫びが聞こえてくる気がしました。
そして、
来年から医療制度が大きく変わる日本に住む我々にも
けっして他人事ではない問題が多々含まれていると思います。
だから、「アメリカって変なの~」と思うだけでなく、
自分の国に置き換えて考えながら見てみると
色々なことが実感として迫ってくるんじゃないでしょうか。
ともあれ、まずは世界の実態・実情を「知る」ことが大切ですよね、
だって、
何も知らずに政治家に任せっぱなしにしてたら、
アメリカみたいな恐ろしい保険制度になっちゃうかも知れませんから。
そして、アメリカに旅行する時には
しっかり旅行保険に加入してから行くようにしたいものです。
この映画を観た人は、絶対そうするようになると思いますよ~。
投稿者 mi-chan : 2007年08月25日 23:54
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