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映画 グッド・シェパード

CIA創成の立役者となった諜報員の人生を描く歴史フィクション
「グッド・シェパード」が公開されました。

最近は、「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズや
「アナライズ・ミー」「アナライズ・ユー」といったコメディ映画への出演が続いていた
ロバート・デ・ニーロが、何と13年ぶりにメガホンをとった監督作です。

ちなみに、以前聞いた話ですが
このところ彼がコメディ映画に立て続けに出ていたのには
ワケがあったようですね。
2001年9月11日の米国同時多発テロで
物理的にも精神的にも大きく傷ついたニューヨークの人たち。
ニューヨークに自らのプロダクションを構え、
この地に根付いて暮らして来たデ・ニーロは、
9.11を機に
「悲しい映画には出ない。人々を楽しい気分にさせる作品で
みんなに喜んでもらうんだ」と宣言したのです。

一見、意外にも思えるデ・ニーロのコメディ演技は、
ニューヨークを始め、アメリカじゅうの人たちを元気づけたい
という考えからだったんですね。

そんな彼ですが、元々得意としていたヒューマンドラマを再び作り、
出演する気持ちになったようで、
今年に入り、ようやく本作のような史実に基づく重厚な作品を発表したのです。
相変わらず、ファンタジー映画などにも出演してはいますが
それでもアメリカが少しずつ、元気になってきた、ということでしょうか。

それに、デ・ニーロは9年間にわたり、
CIAに関する映画を作りたいと緻密な調査を続けていたそうですから
構想は9.11より以前からあったのでしょう。

さて、この映画のタイトルである「グッド・シェパード」ですが
「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」という、新約聖書の中の言葉の引用だそうです。
そのことを頭の片隅に置いて作品を見ると
マット・デイモンが演じた主人公エドワードの気持ちがよく分かると思います。

1961年、カストロ政権転覆を目論んだ亡命キューバ人が
アメリカの支援を受けてピッグス湾に上陸するも、CIAの情報漏れにより計画は失敗。
ベテラン諜報員のエドワードは
この一件にCIA内通者の匂いを嗅ぎ取り、調査を開始します。
しかし、そのことが自分と家族に恐ろしい結果をもたらすことになるのでした。

時を遡って第二次世界大戦直前、エドワードの青年時代。
イエール大学の学生だったエドワードは、
学内の秘密結社「スカル&ボーンズ」(歴代のアメリカの政治経済のトップに
君臨する人たちがみんな入っていたとされる実在の秘密組織で、
これまでにも映画「スカルズ」などで描かれています)に加入。
国からのスカウトを受け、諜報活動を実行するようになっていきます。

そんな時、彼は
知り合ったばかりの上院議員の娘と衝動的に結ばれ、
彼女が妊娠したことで結婚を余儀なくされます。
しかし、エドワードは結婚生活を省みることなく
戦争時の対外諜報活動にのめり込んで行くのです。

その後、様々な出来事を経て
現在のエドワードと、彼の家族、
そしてエドワードが作り出した組織の様子が描かれていくのですが
FBI、KGBなど様々な国家的組織がうごめく世界の恐ろしさが
ガツンと伝わってくる展開になります。

2時間47分という、ちょっと長尺な作品ですが
CIAという今では誰もが知っている組織がどうやって誕生したのかが
淡々と綴られていく過程と、周囲の人を誰も信じることの出来ない状況に置かれた
一人の男性の姿は、見ごたえ十分です。
しかも、ストーリーの中のほとんどの人物には実在のモデルがいて、
登場する歴史的な出来事も本当のことだと言うんですから
ゾクゾクしてしまいました。

女性が疎外され、男たちだけで作られていく影の組織。
ファミリーのためなら、何もいとわず、大切な者も犠牲にする…。
正義と悪という違いこそあれど、
デ・ニーロを一躍スターにしたあの名作「ゴッド・ファーザー パート2」にも
似た空気を感じてしまった作品でした。

投稿者 mi-chan : 2007年10月20日 21:47

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