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映画 アウェイ・フロム・ハー 君を想う

今年のアカデミー賞で脚色賞、主演女優賞にノミネートされた
「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」。

結婚して44年になるグラントとフィオーナは、
オンタリオ湖のほとりで平穏に暮らしていました。
ところがフィオーナの物忘れが次第に激しくなり、フライパンを冷蔵庫に入れたり、
手に持った飲み物の名前すら口から出なくなってしまいます。
ついには自宅までの帰り道も分からなくなってしまうフィオーナ。
自分の病に気づいた彼女は、グラントの反対を押し切って
「あなたに迷惑をかけたくない」と、アルツハイマー専門の老人介護施設へ入所します。

しばらくしてグラントが面会に行くと
フィオーナは入居者の男性・オーブリーと親しくなっていました。
そして、グラントに他人行儀な態度をとるのです。
彼女は夫のことが分からないようでした。
グラントは、
「昔、若い頃に自分がさんざん好き勝手に浮気をしたので、
その仕返しで妻は芝居をしているのではないか」と思います。
しかし、毎日会いに行ってもフィオーナの態度は変わりません。
自分の知らない服装でかいがいしくオーブリーの世話を焼き、
仲むつまじく散歩するフィオーナを見て、
複雑な思いを抱くグラントでしたが、
それでも必死に平静を装い、彼女を見舞い続けます。
そして最後に訪れる結末は…まさに“大人のラブストーリー”です。


アルツハイマーに冒される女性に扮し、
蘇る記憶と忘却を行きつ戻りつする姿を熱演したジュリー・クリスティは、
本作でゴールデン・グローブ賞を受賞したほか、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
彼女は昔、あのテレンス・スタンプやウォーレン・ベイティとの恋愛で
映画界を賑わせた往年のスター女優さんなんですね。
「ダーリング」という作品でアカデミー賞受賞経験もあります。

この作品では、ボサボサの白髪頭でメイクもほとんどしていないので
ホントにお婆ちゃんって感じですけど(それでも瞳の美しさは素晴らしい!)、
アカデミー賞授賞式のときはバッチリメイクもして、髪も綺麗にしていたので、
すっごく若く見えましたし、それどころかアダっぽい色気もあって
素敵な女優さんだなぁって思いました。


監督・脚本は、サラ・ポーリー。
「アボンリーへの道」などの子役出身で
「死ぬまでにしたい10のこと」「ドーン・オブ・ザ・デッド」などで
主演している女優さんですが、
短編映画をいくつか撮っていて、本作が長編デビュー作となるそうです。

それにしても、1979年生まれという、まだ若い女優さんなのに
「長年夫婦だった男女の人生の晩年」というシブいテーマの映画を撮るなんて
精神的に成熟している人なんだなぁって思いましたね~。

子ども時代から芸能界にいると、
しっかりしているように見えても何だかダメな大人になってしまうことが多いみたいですよね。
どの国でも昔から「子役は大成しない」って言いますし。
マコーレー・カルキンもしかり、
あんなに賢かったハーレイ・ジョエル・オスメントだって残念な結果に…。
今は立ち直ったけれど昔のドリュー・バリモアだって酷かったですよね。
若くして亡くなってしまった子役出身の俳優も死因はドラッグなんかが多いです。
そんな堕ちて行ってしまう子役が多い中、サラ・ポーリーは
映画監督業にまで挑戦して、さらにアカデミー脚色賞にまでノミネートされて、
そして主演した女優もアカデミー賞候補になって。
スゴイ人ですよね~。

これまでにも
「私の頭の中の消しゴム」「きみに読む物語」「アイリス」など、
アルツハイマーがテーマの映画っていくつかありましたが
この作品は、他の作品よりリアルだし、シビアだし、
「う~、キッツイ現実だなぁ」って思えるシーンがたくさんありました。

アルツハイマーって、近い記憶から無くなっていって、昔の記憶は薄れないんだそうですね。
だから、今、住んでいる家へ帰る道は忘れてしまうのに
ダンナさんが女遊びをしたことで自分が苦しんだ20年も前の記憶だけは
いつまでも残っていたりして…。
人間というのは普通、辛いことや嫌なことはなるべく忘れるようにして
フタをして生きていくものですけど、
病気になったことで、それが出来なくなっていくんですね。
こういう事態もあり得ますから、世の男性の皆さん、
やっぱり浮気は後々まで人生に響くことになりますよー(笑)。

淡々と人生の終わりのひと時を見せつけられるような映画なので
楽しい気分にはちょっとなりにくいんですが
自分がもし、こうなったら? パートナーがこの病気になったら?
親や兄弟や友達がそうなるかも知れない…。
などなど、しみじみと色んなことを考えさせられます。
たまにはこういう映画もいいかなって思いました。

投稿者 mi-chan : 2008年05月31日 22:41

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