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夏目家の福猫

夏目漱石の孫、と言えば漱石の長男・純一さんの息子の房之介さんが有名ですが
漱石の長女・筆子さんの娘、半藤末利子さんという方もいらっしゃるんですね。
先日、本屋さんをうろうろしていて
半藤末利子さんのエッセイを見つけ、初めてこの方のことを知りました。

漱石は45歳で亡くなってしまったため、
末利子さんはお祖父ちゃんとの触れ合いを経験していないのですが
お母さんから話を色々聞いていたので
それを基に漱石についての話を書き綴っています。
夏目家に代々伝わっている糠みそもお持ちです。

「我輩は猫である」のモデルになった猫は
追い払っても追い払っても夏目家にやって来た野良にゃんこで
漱石の奥さんである鏡子さんが頭に来ていたところ
漱石が「そんなに懐いているなら飼えばいい」と言ったことで
夏目家のにゃんこになった…とか、作品からは分かり得ない、生き生きとした
漱石と漱石一家の姿が描かれています。

また、末利子さんのお母さん、つまり漱石の長女・筆子さんは
漱石の門下だった松岡譲さんという方と結婚しました。
ワタシは不勉強だったのですが、この松岡譲さんも作家なんですね。
その結婚については当時、芳しくない噂が
まことしやかに流れたんだそうです。
美人だった筆子さんのことが好きだったある人が作家という立場を利用して
筆子さんと譲さん、そして自分をモデルにした
真っ赤な嘘を書いた作品を発表してしまったからなんですって!

詳細については半藤末利子さん著「夏目家の福猫」を読んで頂きたいのですが、
そのことによって松岡譲さんは世間から冷たい目で見られ、
さらにはさまざまな不運が重なって、
せっかくの文才を生かすことが出来なかったようです。
そのことについての真実を、娘の末利子さんがご自分の本で書き、
お父さんの無念を晴らした形となっていて感動しました。

いつの時代にもいるんですよね、横恋慕したあげくに
逆恨みしたり、振られたことを世間に知られたくないからって
自分に都合よく言いふらすヤカラって…。ぷんぷん。

また、漱石が晩年アイスクリームを好んで食べていたこと、
子どもたちと食事を共にしないものの、子どもたちが食べている食卓には
覗きに来たことなど、微笑ましいエピソードも多数紹介されていて
漱石の意外な素顔を知った気がしました。

漱石がみんなにお金を貸していて
多くの人がとうとう終生返してくれなかったこととか、
有名になった作家が「もう時効だ」と堂々と言っていることとかも明かされています。


それから、あとがきを嵐山光三郎さんが書かれていて
著者の半藤末利子さんが松本清張氏とも深いつながりがあったこと、
末利子さんのご主人である作家の半藤一利さんがどのような方なのかも披露されていて、
こういうあとがきは、読んでものすごく得した気がして嬉しいな~と思いました。

何の気なしに手に取った一冊でしたが
知っているようで作品以外のことは何も知らなかった夏目漱石について、
またその家族について血のつながった方が書いているエッセイは、とても興味深かったです。
文豪と言うと大昔の遠い人って思いがちですけど
こうしてお孫さんがご健在だと
漱石も本当にすぐ近くで生きていた人なんだなぁって感じられますよね。

投稿者 mi-chan : 2008年07月09日 23:52

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