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映画 BOBBY

アンソニー・ホプキンス、シャイア・ラブーフ、
アシュトン・カッチャー、ヘザー・グラハム、シャロン・ストーン、
ジョシュア・ジャクソン、マーティン・シーン、
エミリオ・エステベス、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシー、
ローレンス・フィッシュバーン、リンジー・ローハン、
クリスチャン・スレイター、イライジャ・ウッド、フレディ・ロドリゲス、
デミ・ムーア。

主演級の俳優がこれだけの人数、勢ぞろいして
一本の映画に出る…普通ならあり得ないです。
それをやってのけたのが
俳優であり、映画監督としても頑張っているエミリオ・エステベス。
彼やマット・ディロン、ロブ・ロウたちがブラッド・パックと呼ばれていた時代を
ご存知の方なら「おおおっ、懐かしい」と思われることでしょう。

その彼がさまざまな運命に導かれるようにして
作ったのがこの「BOBBY」なんですね。
その運命については後ほど詳しく書かせていただくとして…。
劇場で観そびれていて、ずっと見たいと思っていた作品だったものの、
実はワタシ、この作品についての予備知識は
ほとんどナシでDVDで見始めたんです。
なので、前半は
次々に出てくる人たちのあまりの豪華さにビックリして
「何なの、この映画!」と思って内容やセリフがアタマに入ってこず、
何度も同じシーンをリピート再生してしまいました。
だって、登場人物すべての名前がスラスラ言えてしまう(それほど全員がビッグネーム)
映画なんて、そうそうないですよ!

通常なら実現不可能な面々が一堂に会したのには
色々な理由があるでしょうが、
まず第一にエミリオ・エステベスの人脈と熱心な誘いがあったと思います。
さらに作品のテーマとなっている「ロバート・ケネディの暗殺」が
アメリカの人々、そしてハリウッドの人たちの愛する物語であるという点。
加えて今、アメリカ社会の抱える深刻な問題を
恐ろしいほど的確に予言していたロバートの死を
改めて悼みたいという気持ちもあるのではないでしょうか。
彼が生きていてくれたら、アメリカはもっと違った道を歩んだに違いない、と…。
もともと、ハリウッドはケネディ好きなところもありますしね~。

そうして多くのビッグネームが集結。
エミリオの作品づくりにひと役買うどころか、大いなる助けになったのです。
彼らはハリウッドの映画出演料の最低ランクのギャラで
快く出てくれたんだそうですね。
調べたところによると、多分20万円前後のようです。
普段は1作出れば数千万円~数億円を貰えてしまう人々ですから
エミリオがインタビューで「みんなにタダ同然のギャラで出てもらった」と
感謝していたというのも頷けます。

エミリオとマーティン・シーンの親子共演も「おおっ」って感じですが、
エミリオとデミ・ムーアは若い頃、
婚約していて結婚寸前で別れた過去があったので
そっちのほうがかなりビックリ。しかも夫婦役での共演。
それに加えて同じ画面には映らないものの、
現在のデミの夫、アシュトン・カッチャーも出演しているわけで…。
ハリウッドって結構派手にくっついたり、離れたりしますし、
作られている映画の数も多いので、
別れた後も共演せざるを得ないこともあると思いますが
ここまでガッツリしっかり共演しているというのも珍しいのではないでしょうか。

エミリオ・エステベス自身が
監督だから自分で昔の婚約者、デミ・ムーアに電話して
「出てくんない?」って頼んだんですかね。
そしたらデミが「いいわよ。でもその代わり、ウチのダンナも一緒に出してね」って
言ってアシュトン君も出演することになったとか?(勝手な想像)

そうかと思えば、当然出ていると思っていた人がどこにもいなくてちょっとビックリ。
何でエミリオの弟であるチャーリー・シーンは出ていないのか、
ちょっと不思議です。
以前、別の映画で共演したこともあるのに。
ケンカでもしちゃったかな?(また勝手な想像)

肝心の映画の中味ですが、まずはタイトルについて。
ボビーは、アメリカ大統領・JFKの弟で、兄と同じように志半ばにして銃で暗殺されてしまった
ロバート・ケネディの愛称です。

映画は、そのボビーが亡くなる当日、暗殺場所となったホテルに
さまざまな理由で集っていた人たちの群像劇です。
ボビーの半生を描いていないのが意外と言えば意外ですが
これがまたよく出来ているグランド・ホテル形式のシナリオで感心しちゃいました。

ホテルの支配人、ホテルの電話交換手で支配人の愛人、
支配人の妻で館内の美容室で働く女性、ベトナム戦争行きを逃れるために
偽装結婚する若いカップル、ロバート・ケネディの選挙事務所で働く青年たち、
倦怠期のリッチな夫婦、ホテルの厨房で働くヒスパニックの青年、
落ちぶれてしまった歌手などなど…総勢22名の人々が出てきます。
それぞれの事情でホテルにいて、さまざまな心理状態を抱えている人たち。

そして、まったく関係のなかった彼らが
一瞬にして人生を交錯させる時がやって来ます。
恐ろしくも、映画としては秀逸なシーンです。

暗殺事件は本当にあったことですが、
劇中の登場人物は、いずれもエミリオの作った想像上の人物だということです。
でも、ベトナム戦争の兵役逃れのために偽装結婚するカップルには
モデルとなった人がいたようです。
ネットのインタビュー記事で読んだのですが
ある日、モーテルに泊まろうとしたエミリオが
受付の女性に「あなたは何をしてる人?」と聞かれたので
「ロバート・ケネディが亡くなった日の映画を作ろうとしているんだ」と答えると
その女性が「私はあの日、現場にいたのよ」と言ったんですって。
聞くと、その日、出兵したくない男性のために偽装結婚をしたのだ、と語ったそうです。
それが、この映画の中でリンジー・ローハンとイライジャ・ウッドが
演じているカップルのモデルとなったことは間違いないでしょうね。
この偶然、凄くないですか?
まさしく、運命的にエミリオが作るべくして作った作品だと言えると思います。

ですが残念ながらこの映画…
アメリカでも日本でもあまりヒットしなかったんですよね。
とっても残念です。
映画のラストに流れるボビー本人の長い長いスピーチは
今のアメリカ、そして日本の政治・経済・宗教・人種問題などの現状に
驚くほどピッタリとあてはまる内容で
絶対に両国の普通の人々はもちろん、
政治家たちには特に聞いてもらいたい言葉ばかりだというのに…。

あの日、アメリカ国民が感じた喪失感、絶望感が
痛いほど伝わってくる映画でした。
またしても映画にひとつ、学ばせてもらった気がします。

投稿者 mi-chan : 2008年12月14日 23:51

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