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映画 チェンジリング

今年が始まってまだ2ヶ月足らずですが
早くも「今年のワタシ的NO.1映画になるかもっ」って思ってしまう映画を観てしまいました!

主演のアンジェリーナ・ジョリーが今年のアカデミー賞主演女優賞候補になっている
「チェンジリング」です。
映画の内容なんて知らなくても、クリント・イーストウッド監督作だというだけで
完成度はかなり高いことが想像できましたし、
絶対にいい映画だと確信していたので、とっても楽しみにしていたんですよね~。
そして…その事前の期待度を軽々と超えてしまう
衝撃と感動に襲われてしまいました。

1928年のロサンゼルス。
夫と別れ、最愛の1人息子・9歳のウォルターを女手ひとつで育てているクリスティン。
彼女は電話局の交換手のチーフとして働いていました。
これが面白いのですが、電話交換手の人々の後ろを急いで移動し、
トラブルに対処したり、交換手に指示を出したりしなくてはならないため、
アンジー扮するクリスティンはローラースケートを履いているんです。
これって当時の電話交換手の管理職の人は、
本当にローラースケートを履いて持ち場を走り回っていたんだそうですよ。
アンジーは役作りのほか、ローラースケートの練習もしたそうです。

さて、クリスティンが緊急で仕事に行かなければならなくなったある日。
ウォルターは「1人で留守番してる」と言います。
仕事後、クリスティンが帰宅すると、ウォルターは自宅から忽然と消えていました。
必死に息子を探すものの、見つからないため、警察に届けるクリスティン。
そして、5ヵ月後。
警察から「息子さんが見つかりましたよ」という知らせが届きます。

この時のアンジーの表情が素晴らしいんですよ。
息子が消えてしまったという不安な気持ちを押し殺して、必死に働いている職場に
突然、警察がドヤドヤッと入って来ます。
そして、「息子さんの件なのですが…」と。
ワタシたちは予告編などでこの後の展開をある程度知っているので
「息子さんが見つかった」と言われるな、と分かっていますが
クリスティンはそんなことは分からないワケで。
なので、「死んだ…と言われるのか、それとも…」
という恐怖と不安と戸惑いが入り混じった、
「次の言葉を聞くのが怖い…」というような感情があふれてくるのが当然ですよね。
アンジーは、そんな母親の感情が手に取るように伝わってくる演技をします。
最近はアクション映画ばっかりやっているので
彼女の演技力についてはあまり評価していなかったワタシでしたが
この瞬間、「やっぱスゴイ」と感心しました。

話を戻しまして。
息子が汽車でロサンゼルスに帰ってくる、と聞き、駅でウォルターを迎えるクリスティン。
ところが、「ママ!」と抱きついて来た男の子は息子とは別人でした…。
マスコミのカメラが多数待ち受ける中、
警察はこれでめでたしめでたしにしようとします。
当時のロサンゼルス市警は、汚職や失態が多く、市民から不信感を抱かれていたので
好感度アップのためにこの事件を利用したのでした。
なので、いくらクリスティンが「この子はうちの子じゃないです」と言っても
聞き入れてもらえず、医者や周囲の人間も巻き込んで
「しばらく離れていたから雰囲気が変わっただけ」などと言って
クリスティンの勘違いで済ませようとするんですよ。

母親が自分の子を間違えるワケないじゃん!
こんなの、女の人だったら誰だって思いますよ。
自分の家で可愛がっているペットの犬や猫ですら、
他のにゃんこやわんこと見分けがつきますよ。
絶対に間違えたりしません。
ましてや10年近くも育てた大切な我が子と他人を、
数ヶ月離れただけで混同したりするはずないですよね。

クリスティンは訴え続けます。
「私の子は今、どこにいるんですか。捜査をやめないで、探してください」
当然の話ですよね。
ところが市警察は面倒くさがり、なおかつ一度解決した(と勝手に思っている)事件を
再捜査することは世間体が悪いと思って
クリスティンを精神病院に拘束してしまいます。
加えて、1920年代という時代です。
女性が声高に何かを訴えるということは許されなかったんですね。
要は、警察はシングルマザーの女性一人の人生なんて
なんとも思っていなくて舐め切っていたということです。
まぁ、昔ほどではないにしろ、今だって時々いますよね、
女性が何か意見すると、それが正論かどうかは関係なく
「ギャーギャーうるさいね」って言うオジサン。

警察という権力に対し、孤軍奮闘だったクリスティンの前に
味方になってくれる牧師が現れて、話は急展開を迎えるのですが
このあたりからワタシの涙腺は決壊。
もう号泣ボロボロでした。


子どもの失踪、別人が息子だと主張、警察の怠慢と女性蔑視、
そして精神病院へ強制送還。
これ、すべて実話だというんですからとんでもなく恐ろしい話ですよね。
そして、この後、この映画にはもっともっと恐ろしい展開が待ち受けています。
ヒューマンドラマだと思って観ていたのに
ストーリーは一変、サイコサスペンスの様相を呈してくるのです。
もちろん、最後にはまた、感動ドラマに戻るのですが
中盤のこのサスペンスがあまりにも意外で、本当に驚きました。

当時のアメリカの職業婦人の服装が分かる、
アンジーのクラシカルなファッション、髪型、メイクなども興味深く、
また、ハリウッドに路面電車が走っていたというのも知らなかったのでとても新鮮でした。
当時のアカデミー賞授賞式をクリスティンがラジオで聞いているシーンも出て来て、
アンジーにちょっとシニカルなセリフを言わせちゃってる
イーストウッドの茶目っ気なんかも感じられ…。
そういう点は楽しいんですけど、
物語は本当に強烈で、心が痛くなりました。


このクリスティンという女性が闘ってくれたおかげで
ロサンゼルス警察の腐敗が明るみに出て、
なおかつ、「誰であっても警察が勝手に精神病院送りにすることは出来ない」
という法律まで作られたというんですからスゴイと思いました。

子どもを思う、1人の平凡な母親が成し遂げたこと、
それは、ひたすら「我が子を返して欲しい」という必死の願いから始まったことで
そんな彼女の強さと、ほんの少しの希望が見えるエンディングに
また涙してしまいました。

やっぱりイーストウッド翁は、
観客の心の奥にグイッと入り込む物語を描かせたら天下一品です。
映像や編集、演出と、どこを取っても
観ている途中でワタシたちを現実に引き戻させるような
中だるみやワザとらしさ、シラケる部分がないので
最後までどっぷりと映画の世界観に浸っていられるんですよね。
これがたまらなく心地いいです。

今度の月曜日に迫ったアカデミー賞授賞式で、
主演女優賞候補としてアンジーの名前が呼ばれる時、
会場の列席者からリスペクトの拍手が沸き起こることは間違いないと思います。
ワタシの予想としてはケイト・ウィンスレットとの一騎打ちだと睨んでいるんですが…。
結果を楽しみに待ちたいと思いますが
オスカーとは別にしてもこの作品と、この作品でのアンジーは素晴らしいです。
実は、今まで彼女のことをイイと思ったことは無かったんですが、今回は本当に大拍手です。
これも出演者を必ずオスカーウィナーにして来た
名匠・イーストウッド監督のなせるワザでしょうか。

投稿者 mi-chan : 2009年02月20日 22:20

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